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柳田国男の遠野物語:日本の伝承と恐怖の世界

みなさん、こんにちは。こたつです。

今日は「柳田国男遠野物語:日本の伝承と恐怖の世界」と題してお送りしたいと思います。

え?なぜ急に柳田国男かって?

それは私が現在執筆中のライトノベルホラー小説「紅蓮村」に非常に大きく関わっているからです。

もともとこの小説の大まかなプロットは私が実際に夢で見たお話が元となっているのですが、かなり柳田国男の「遠野物語」に影響を受けていると思われるからです。

そういうわけで、「紅蓮村」の基盤となった柳田国男遠野物語についてみていきましょう。

はじめに:

遠野物語とは何か

遠野物語は、柳田国男明治43年(1910年)に発表した、岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集です。

遠野地方の土淵村出身の民話蒐集家であり小説家でもあった佐々木喜善より語られた、遠野地方に伝わる伝承を柳田が筆記・編纂する形で出版されました。

日本の民俗学の先駆けとも称される作品です。

内容は天狗、河童、座敷童子など妖怪に纏わるものから山人、マヨヒガ、神隠し、臨死体験、あるいは祀られる神とそれを奉る行事や風習に関するものなど多岐に渡ります。柳田は実際に遠野を訪れて自らの見聞を加えたり、後に拾遺を追加したりして作品を完成させました。

遠野物語は、知識人の間で評判を呼び、宮沢賢治折口信夫など多くの文化人に影響を与えました。

また、現代でも遠野物語に登場する妖怪や伝承は多くの作品やメディアで取り上げられています。

 

柳田国男とはどんな人物か

柳田国男は、日本の民俗学者で、日本民俗学創始者と呼ばれています。

彼は、農商務省の官僚として全国各地を調査し、地方の農民の暮らしや伝承に関心を持ちました。

彼は、『遠野物語』や『蝸牛考』などの著作で、日本の民俗を独自の視点で解明しようとしました。

彼は、民俗学を「社会をよりよくするための学問」と考え、農村や農業の発展に貢献しようとしました。

彼は、生涯で100冊以上の著作を残しています。

彼は、以下のような特徴的な研究方法で日本の民俗を独自の理論や方法論で解明を試みました。

方言周圏論方言の分布や変化をもとに、日本列島の文化的なまとまりや歴史的な流れを考察する方法です。彼は、方言の違いが地域の生活や伝承にも影響していると考えました。

 

重出立証法:同じテーマやモチーフを持つ民話や伝承を、全国各地から集めて比較し、その共通点や相違点を分析する方法です。彼は、これによって民俗の起源や変遷を探ろうとしました。


調査旅行:実際に現地に赴き、住民と交流しながら、その生活や文化を観察し、記録する方法です。彼は、全国各地を旅して多くの資料を採集しました。


郷土研究:自分の出身地や居住地の歴史や文化に関心を持ち、それを研究する方法です。彼は、自らも郷土研究に取り組むとともに、郷土会や雑誌『郷土研究』を通じて多くの人々に郷土研究を奨励しました。


このような研究方法で彼は、日本民俗学の基礎を築くとともに、多くの後進に影響を与えました。

 

遠野物語の世界:

ではいくつか遠野物語に登場する妖怪や神話、風習や風景などを紹介したいとおもいます。

 

第一巻第一話「山の女神」:遠野の山に住む女神の伝説。女神は山に入る人間に恵みを与えるが、不敬な者には罰を与えるという。柳田国男はこの話を聞いて、遠野の人々が自然に対する畏敬の念を持っていることを感じたと述べている。


第一巻第十八話「河童」:河童は水辺に住む妖怪で、人間と仲良くすることもあれば、いたずらや害をすることもあるという。この話では、河童が人間の子供と遊んだり、馬や牛を襲ったり、人間に助けられたりする様子が描かれている。


第二巻第三十六話「座敷童子:座敷童子は家に住み着く妖怪で、家の繁栄や不幸を左右するという。この話では、座敷童子が家に現れたり消えたりすることで、家族の運命が変わっていく様子が描かれている。


第二巻第四十八話「姥捨て山」:姥捨て山は遠野の山の一つで、昔は老人を山に捨てる風習があったという。この話では、老母を捨てに行った息子が、母から最後の言葉を聞く場面が描かれている。柳田国男はこの話を聞いて、日本人の親孝行や老後の問題について考えさせられたと述べている。

 

 

遠野物語の恐怖:

これらの遠野物語に登場する恐怖要素や怪異現象は、日本人の死生観や自然観、畏怖心や信仰心などに反映されています。

例えば鬼や死人などは、日本人が自然界に存在する神秘的な力や霊的な存在として認識していたものであり、それらと交流することで自然と人間との関係性を表現しています。
また、正体や真実が隠されたり明らかになったりすることは、日本人が物事に対して表面的な見かけではなく、内面的な本質を重視していたことを示しています。
そして死や別離といった悲しみや苦しみに直面することは、日本人が死を否定的に捉えず、生きることと同じくらい大切なものとして受け入れていたことを示しているといえます。

自然や社会に対する無力感や不条理感は、日本人が自分たちの運命を自分で決めることができないと感じていたことを示しているといえ、日本人は自然や社会の摂理に従って生きることを美徳とし、それに反することを恐れていたのです。

そのため、自然や社会に対抗することは無益であると考え、それらに対する畏怖心や信仰心を持っていた、といえます。

 

遠野物語の現代性:

遠野物語が今日の私たちに何を伝えているかを考えるとき、以下のような観点があります。

遠野物語は、自然と人間との関係や、生と死の境界、神や妖怪との交流など、日本人の死生観や自然観が凝縮された作品です。

そこには、津波で妻を失った男の物語など、今の東北にも通じる題材も含まれています。

遠野物語を読むことで、日本人の心の原点を探ることができます。
遠野物語は、柳田国男が遠野地方を実際に訪れて得た見聞や資料をもとに作成した作品です。

その中には、遠野地方の歴史や文化、風習や行事なども紹介されています。

遠野物語を読むことで、遠野地方の魅力や特色を知ることができます。
遠野物語は、柳田国男佐々木喜善から聞いた話をそのまま書き留めたものではなく、自分なりに解釈や推敲を加えたものです。

その中には、柳田国男自身の思想や感性が反映されています。

遠野物語を読むことで、柳田国男の人間像や思想を探ることができます。
以上のように、遠野物語は多面的な作品であり、今日の私たちにも色々な示唆や教えを与えてくれます。

 

遠野物語が影響を与えた作品や人物:

遠野物語は以下のような人物や作品に影響を与えました。

宮沢賢治は、柳田国男と親交があり、遠野物語に大きな影響を受けました。

宮沢賢治の作品には、遠野物語から引用された言葉やモチーフが多く見られます。

例えば、「銀河鉄道の夜」、「雨ニモマケズ」、「春と修羅」、「風の又三郎」、「注文の多い料理店」、「セロ弾きのゴーシュ」では、「グスコーブドリの伝説」の一節が引用されています。

グスコーブドリとは、遠野物語に登場する巨大な鳥で、人間をさらって食べるという恐ろしい存在です。

しかし、宮沢賢治はこの鳥を、人間の心の闇や苦しみを象徴するものとして描きました。

ゴーシュは、セロを弾くことでグスコーブドリと対話し、その悲しみや孤独を理解しようとします。

この物語は、遠野物語から着想を得た宮沢賢治の代表作のひとつです。

 

おわりに:

めっちゃ長くなりました。「遠野物語」や「柳田国男」、名前は知っていてもどんな人なのか、どんな本を書いたのか、知らなかった人も多いと思います。

「村」もの「ホラー」を現在執筆中の自分としてはこうしたものからインスピレーションを得ています。

もしよろしければ、みなさんも読んでみてください。では、また次回!

画像:AI作成